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豚の呼吸器複合病(PRDC)について 2005年4月更新
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マクロライド系薬剤とは…
マクロライド(ML)の歴史
図:マクロライド(ML)の歴史 図:動物に使われる代表的なマクロライド

マクロライド系薬剤は、ペニシリンやテトラサイクリンと伴に、抗生物質の歴史の中では最も先に発見され、開発が進んだ薬剤です。
当初は、マイコプラズマに対する優れた効果が注目され、人や動物のマイコプラズマ対策薬としての位置付けがなされ、養豚業界でも豚のマイコプラズマの対策用として、様々な場面で使用されてきました。
一方、当初のマクロライドは、(1)胃酸に弱く、経口的な投与では吸収が安定しないなどの欠点、(2)それに誘導耐性といって、菌と薬剤が触れるだけで菌が耐性化する誘導耐性を持つことが問題視されていました。
そこで、マクロライドの改良はこの2つの点を中心に進められたのですが、近年になって、さらに体の中でいかに、菌の感染するところに薬剤を集中させるかという点にも改良が加えられました。
こうして開発されたのがアジスロマイシンやチルミコシンです。この2剤に共通する特徴は、体内動態の大幅な改良で、肺やマクロファージなどの白血球に特異的に移行するという特徴が強化されました。一方で、肺炎を引き起こすグラム陰性菌に対する抗菌力も加わり、効果的に菌を排除することが可能になりました。

マクロライド系薬剤の特徴

図:マクロライド系薬剤の特徴

マクロライド系薬剤は、さまざまな点でユニークな特性をもっています。
抗菌活性をみると、マイコプラズマを始め、第四世代のチルミコシンなどではApp、Pmなどにも有効で、主要な肺炎起因菌をカバーしています。
また、下痢の原因菌に対しては、豚増殖性腸炎の原因菌であるローソニアや、壊死性腸炎の原因菌であるクロストリジウムなどにも有効です。
特徴的なのが、動物体内での分布で、肺やその他の気道、腸管、子宮、乳汁などpHが酸性の組織に特異的に移行します。一方、血液中の濃度は上がらず、特定の感染症に特化して優れた効果が期待できます。
効果の期待できる感染症としては、呼吸器感染症、消化器感染症、子宮感染症、乳房炎などが上げられます。
また、比較的安全性が高く、アレルギーや消化器系の副作用が少ないことが知られています。

マクロライド系薬剤のもう一つの特徴−免疫への作用

免役担当細胞の支援

図:免役担当細胞の支援
好中球のアポトーシス誘導と炎症の抑制

図:好中球のアポトーシス誘導と炎症の抑制

マクロライド系抗生物質は抗菌活性によって菌を排除する作用の他に、動物の免疫機構を調節したり、補助したりすることが知られています。ここでは、動物用マクロライドの代表選手チルミコシンで知られている作用について紹介します。
免役担当細胞の支援作用
白血球は生体の免疫をつかさどる重要な役割を持つため、免疫担当細胞とも呼ばれますが、これには、戦車ともいえる、「マクロファージ」、「単球」と、歩兵とも言える「好中球」があります。チルミコシンはこのような免疫担当細胞中に移行し、特に、菌を殺菌・消化する消化酵素を含んだ「リソゾーム」と呼ばれる袋の中に多量に蓄積します。
チルミコシンを蓄えた免疫担当細胞は菌が体内に侵入すると、その場所に駆けつけ、菌を貪食、菌をファゴゾームと呼ばれる袋で包みます。
次いで、菌を殺菌・消化する酵素を含むリソゾームとファゴゾームが一緒になり、菌の殺菌消化が起こります。
このとき、リソゾーム内に蓄積したチルミコシンは、免疫担当細胞による菌の殺菌を強力に支援します。
好中球のアポトーシス誘導と炎症抑制作用
好中球は菌を貪食・消化した後、細胞内にインプットされた指令に基づいて小さな袋に分割されます。この小さな袋はマクロファージに食べられて、抗原成分だけが取り出され、抗体を作る情報となります。この過程を好中球のアポトーシス(自発的な計画的な死)と呼びます。
しかし、菌の中にはAppのように白血球を破壊する毒素を出す菌がいて、この毒素により好中球は破裂してしまいます(ネクローシスと呼びます)。この状態では好中球内の各種の消化酵素が周囲に撒き散らされるのですが、この消化酵素が炎症を引き起こす大きな原因となるのです。
チルミコシンは好中球のアポトーシスを促進する作用がありますが、これにより炎症が抑制されるととともに、抗体産生の支援にもつながるのです。

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